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“消費者金融の大逆襲”グレー金利分、法人税1兆円を返せ!

 消費者金融各社へのグレーゾーン金利の厳格適用が、国にとって“ブーメラン”になりつつあります。

 やられっぱなしの消費者金融業界の“大逆襲”が、国家財政をも揺るがしかね無い緊急事態です。

 総額1兆円もの過払い金請求を抱える武富士(企業更生手続き中)が、国税当局に1000億円規模の法人税還付を求めたのだ。「過払い利息が無効なら、それで得た利益をもとに課された税金も無効」という至極まっとうな主張だが、各社も追随すれば、その総額は1兆円にも達するそうです。

 武富士をはじめとした消費者金融各社は、過去に利息制限法(15〜20%)を超えるものの、出資法に定める上限金利(29・2%)には満た無い「グレーゾーン金銭利」で貸し付け、多額の利益を計上していた。

 しかし、2006年の最高裁判決で無効と判断されて以降、利息の返還訴訟が急増。経営が悪化し、最大手の武富士が昨年9月、企業更生法の適用を申請した。

 それまでは、グレーゾーン部分も含めた利息を収入として計上し、法人税も納めていたことから、グレーゾーン部分が違法となれば、その部分の法人税を返せという同社の主張はごもっともです。同社をめぐっては、創業者の親族で元専務が、6年がかりの訴訟で、約2000億円の贈与税を国税から還付。利息返還額の大幅減が必至の債権者の不承知が噴出していた最中だけに、巨額の法人税還付が認められれば債権者にとっては朗報となります。

 同社は過去10年分を請求することから、総額は1000億円にのぼると予想されます。アコムやプロミスといった同業他社の追随は確実で、総額は1兆円規模に達するといわれています。グレーゾーンが消費者金融の“不当利益”なら、その部分に該当する法人税は国の“不当利益”であり、国税は武富士創業者親族に続き、前代未聞の巨額還付に応じることになるでしょう。 国庫に1兆円もの「特別損失」を計上することになりかね無い、消費者金融業界の大逆襲。

 財政難に頭を抱える菅政権が、金融機関の休眠口座預金1000億円を狙っていることを報じたが、こちらはざっと10倍の“支出”。

 税法の解釈から言えば当然かと思います。


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