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人は大金を稼ぐとなぜ脱税したくなるのか

 現今は確定申告の期間の真っ最中だが、いつも思うことが有る。脱税・所得隠しはなぜ無くなら無いのだろうか。「急にお金円が惜しくなる」という思いに駆られるようだが、体験談を基に、うーんと頭をひねってみたい。

■悪魔の声が聞こえた
 「稼ぎはじめると、不思議と急にお金円が惜しくなりました」
 
 有る芸能会社を経営する男性が、ひと山当てた時に、それまで考えもしなかった思いがよぎった。それは「脱税してもバレ無い」という悪魔のささやく声だった。

 この事務所から、同時に複数のタレントが全国区の売れっ子になったのだ。仕事は毎日、舞い込むのはもちろんのこと、養成所の入所希望の問い合わせは引っ切り無しで、毎日多数の問い合わせが来るようになったという。簡単に売上は前年の数倍に。

 「想像もしなかったような金額が入ってきて、気持ちが大きくなったでしょうね。国に取られるのが嫌になり、また、隠しても判ら無いだろうと思ったのです。でも、タレント、社員、それに家族のことを考えたり、税理士の先生の話を聞いて、我に帰りましたよ」

もちろん、それで良かったのだ。

■経費の水増しが思い浮かんだ  
 売れっ子タレントを出すまでの苦労は測り知れず「ツラいことの方が大半だけど、この日(売れる日)を夢見てみんな何年もずっと我慢して仕事をしています」という。
 必死で歯を食いしばって、自社のタレントを売り出すために我慢に我慢を重ねてきたのだ。その結果として、得た大切なお金。経費の水増しなどが思い浮かんだというが、「そんなことしなくて良かったと思います」と、社長は振り返った。

 現今も、順調に事業を続けることができている社長。やはり世の中、「正直者に福が来る」ようになっているのだ。

◇ ◇ ◇  

 ニューハーフの美容研究家が、3年間で6億円余りの所得を隠し、法人税約1億8000万円を逃れたとして、法人税法違反の罪で東京地検に起訴された。手口は、自社の子企業に販売促進費を架空に外注したかのように見せかけるものなど。

 急に大金を掴んだ人の所得隠しのやり方は本当に幼稚で、子供だましです。

 成功に至るまでの苦労の通り道のりは認めるが、この美容研究家も、急に大金を手にして、金が惜しくなったとしか思え無い。しかも、「大金を握って気が大きくなったのかもしれ無い」。だが、“年季の入ってい無い”工作など、簡単にバレてしまうのだ。

 査察を受けた経験者は「あんなに恐い目に遭ったのは初めてでした」と回想する。午前9時すぎに査察が入り、途中から大阪国税局で取り調べとなり終わったのは翌日の午前1時まで、事情を聞かれたという。経験者に言わせると「二度と、そんな目に遭いたく無い」と話す。


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