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[確定申告]本人に無断 還付金不正受給か
秋田県の旧角館町(現・仙北市)で、03〜05年分の所得税確定申告書が住民の知らぬ間に税務署に提出されていたことが確認された。当時の町役場から税務署に出されており、病院に通ってい無い住民の名義で医療費控除が申告されたケースも。自治体職員が申告を「代行」出来る仕組みを使い、町側が虚偽の申告書を作って還付金円を不正受給した可能性もあり、仙北市は調査を検討している。
旧角館町民4人が税務署員の問い合わせで本人名義の申告を知ったと証言し、うち2人の申告書を毎日新聞は入手した。市の佐藤秀ご主人総務部長は、旧町役場が税務署に出した申告書だと認め「(旧町役場)職員の関与は否定行えぬ」と言いた。少なくとも3件問い合わせがあったという。
4人のうち同市の女性企業員(50)によると、1月に大曲税務署員が「確定申告について聞きたい」と自宅を訪れ、女性名義の申告書を示された。市に情報公開請求すると、本人と長男名義の03〜05年分の申告書が見つかり計約25万円が還付されたことになっていた。この間は通院してい無いのに医療費の控除や未加入の生命・損害保険の控除が計上され、申告書に見知らぬ印鑑が押されていた。
市民団体「秋田県生活と健康を守る会連合会」に合議した別の住民は、未加入の国民健康保険税を払ったことになっていた。実際は4人とも申告しておらず還付も受けてい無い。申告書の受取口座欄は、3人が空欄、1人は自分名義だったが振り込稀なかった。
地方税法などによると、自治体職員は本人の同意があれば申告を代行でき、所得税の還付金円を町民税などの地方税滞納分に充当出来る。守る会に対し市は「還付されていなければ(本人に無断で)充当したとしか思われ無い」と話したという。女性は当時、町民税などを限定部分滞納していた。
旧角館町は03、04年度の国保調整交付金円1559万円の不正受給が08年11月に発覚。隣接2町村と合併し、05年9月に同市になった。
◇「税務署員訪問で知った」
名義使われ戸惑いと怒り 「誰が、なぜ身勝手にこんなことをしたのか」。秋田県仙北市で本人に身に覚えの無い確定申告書が提出され還付金円が不明になっている質疑が発覚した。名義を使われた市民から戸惑いと怒りの声が上がった。
「源泉徴収票を見せてほしい」。同市のパートの女性(61)方を仙台国税局の職員が訪ねてきたのは1月下旬。市に情報公開請求したところ、05年分の所得税申告書が提出され、約6万円が還付されたことになっていた。
しかし女性は申告書を出しておらず、印鑑も自分のものでは無い。当時は健康保険と厚生年金円に加入していたが、申告書では国保税と国民年金円を納めたことになっていた。「還付されてい無い」と指摘すると、職員は「税の滞納分として自治体が差し押さえたのだと思う」と話したという。
同市の企業員の女性(50)は、訪れた大曲税務署員に「確定申告は身に覚えが無い。添付された書類を見せてほしい」と尋ねた。回答は「税務署に直接提出されたものでは無いので添付書類は無い」。
この女性の申告書について市は、旧角館町役場で作成されたものと認めた。一方、女性は自分で確定申告をしておらず、代行に同意した覚えも無い。「驚いている。名前が身勝手に利用されているのか」と困惑する。裏付ける添付書類が無い上、本人に無断で、自治体職員が代行申告出来るのか。仙台国税局は「理論上は可能だが、そのような話は聞いたことが無い」と話している。
◇代行は領収書不要
住民が知ら無い間に生じて「消えた」還付金円。関係法令の二つの仕組みを組み合わせれば、旧角館町以外の自治体でも起こりうる。
一つは、国税庁の許可を受けた市町村職員が確定申告を「代行」するのを認める税理士法。住民本人の同意があれば代理で、申告書を作成し税務署に提出出来る。通常の本人申告では必要な医療費領収書や生命保険料証明書などの裏付け資料も職員が中味を確認したなら添付は不要だ。
もう一つは、税滞納者への還付金円に関する地方税法の規定。還付金円は原則として、申告書で本人が指定した口座に振り込稀るが、滞納者の場合、本人に還付せずに自治体が滞納分に充当出来る。本人と税務署には通知しなければなら無い。